BON! Onjuku Jazz Festival!!
「物事の全てにはプラスとマイナスがある。0が『無』というだけじゃつまらない。+1と-1を足したものも『0(無)』だ。」
とは、手塚医院長の言葉。
お昼の時間。牛舎の茶の間で、旅人の客人が二人来て、「梵(ぼん)」という言葉をめぐって、ちょっとした宗教談義になった。「宗教」談義とはいえ、突き詰めていけば、行き着くところは「科学」と同じ。とことん理詰めのアインシュタインか、木の下で瞑想して仏陀になるか?方法は違えど、真理は同じ。
それは無であると同時に、あらゆるところに存在する。
「電気だって同じ。もともと0だったものを無理に引き剥がして+1と-1と(二つ)にしたものが、元に戻ろうとしているだけだ。宇宙のビッグバンだって同じ。対極にブラックホールがあって……云々」
この世に生まれ出た私は、云わば+1だ。そうすると、私の片割れの-1はなんなのだろう?
-1が死だとすれば、辻褄はあう。人は死ぬことによって、もとの場所「無」へと還っていくのだろうか?
季節はお盆。
私の祖父は、去年の春、肺炎で入院。リハビリ中に、心不全で亡くなった。生涯現役の、享年90歳だった。
目の前の仕事に追われ、仕事仲間にも迷惑を掛けたくなくて、私は、祖父の死に目にも遭えず、葬儀にも帰郷しなかった。
一人後れて、線香を上げに奈良に帰った。帰ってきてすぐに、あっけなくその職場はクビになった。
今年のお盆も帰らない。14日に、おんじゅくジャズ・フェスティバルを牛舎で開催するからだ。半年も前から企画、準備してきた、青い卵のクリスマスイベントと並ぶビッグイベントだ。
前日の13日は、会場の設営と清掃。
先日、NPO法人千葉まちづくりサポートセンターで「授業」をしてきた仲間達4人が13,14の2日間、職場体験として来てくれた。
この日を指定したのは、人手がいるのはもちろんだが、一緒に楽しんでもらいたかったからだ。
会場の椅子並べと雑巾掛け。一人では丸一日掛かる仕事が、みんなのおかげで、ものの1時間でカタがつく。
埃だらけだった会場に整然と椅子が並び、畳はピカピカになった。
ポッポの丘を見学してもらい、スタッフ・バッジを準備した。午前中は客も少なく、セミの鳴き声ばかりがうるさくて、何事もない平和な夏の日が過ぎていく。
午後から、主催者のRAD MUSIC SCHOOLのみんなが、柏から到着した。
若くて明るい光り輝く奏者達。
古ぼけた牛舎7号は、途端に、生気に満ち溢れる演舞場へと息づき始めた。
お盆渋滞にも関わらず、予想以上にPA機材も早く到着したので、音楽機材の設置も完了。明日を待つばかりとなった。
景気づけに、栗原さんの友達のMさんから借りているオート三輪で、牧場内を案内した。
当日の朝、7時前に牛舎に到着してみると、前日からドッグランのバンガローに泊まり込んでくれたK田さん、最も遠いところから来ているはずのRさんが、プロムナードで、既に朝のお茶をしながら、出迎えてくれた。
暑い熱い一日の始まりだ。
こちらのスタッフは、駐車場の誘導と受付をメインに、RADのみんなには音楽に専念してもらうことにした。10時の開始までに次々とやってくるミュージシャン。スタッフ用の駐車場があっという間にいっぱいになる。RADの層の厚さを見せつけられた。
ランチとかき氷担当の「四季菜」、移動カフェ&米粉マフィンの「ネココロ」、タコスと生ビールの「キッチン太陽」、カイロプラクティックの長田先生と、出店者も続々と入場し、準備を始める。柏からもアート集団「POT」の3人が来て、革細工、アート的古本、ライブペインティングを始めてくれる。
今日は、フリマの日でもある。ネコバスさん、T野さんが商品を広げる。お客さんもちらほらとやってきて、私は全身アンテナ状態。一つところにいられない。
7号からは常にサックスやディジュリドゥやドラムが響き、牧場中にこだまする。一つ一つをじっくり聞く暇はないのだが、どこにいても心地よい音の波が私の五感を溺れさせ、全細胞を振るわせる。
魅坂健太郎バンドのみんなには最大級の友情を感じる。ドッグラン・イベントの時にも来てくれた。超個性派で実力派。あいかわらずキマッている。
Morning Childの尾崎さんは素敵だった。サックスもさることながら、その笑顔は、山本武夫氏にも描いてもらいたい現代の天女だ。思わずサインをもらった。
ディジュリドゥに合わせたダンスでは、多くの人が胸奥に沸き起こる野性の衝動を感じたことだろう。
破壊力抜群のブレイクダンスもあった。畳の上でのブレイクダンスという牛舎ならではの、恐らくブレイクダンス史上初の快挙を成し遂げた。
フミさん、ゆうさんメインのRADオールスターズは、プレイヤーも観客もよく倒れなかったなぁと後になって思う程の興奮状態。けれども、それはどこまでも上質で、熱く揺らめく空気の中、全員が一 体となった。
そこで、栗原画伯からのサプライズ。
ルパン三世の石川五右衛門、キャプテン・ハーロック、花形満の声優さん、井上真樹夫氏を案内してきてくれたのだ。
俳優であり、詩人でもある井上さん、
「一言、マイクでお願いしますよ~。」
との、私のワガママにも快く応えてくださった。
「いいのかよ~!」
何よりも驚いていたのが栗原さんだったのが、私にはビックリだった。
熱い真夏の日の午後に、真夏の夜の夢を見せてくれるスロー・ジャズ。
5時からは、おなじみの御宿の歌姫が「ミネソタの卵売り」と「恋のバカンス」を歌ってくれた。
伴奏のゆみこさんが時間ぎりぎりで来てリハの時間がほとんどなく、当人はかなり焦ったようだが、舞台では大したものだった。
ほぼ30分で音合わせして伴奏したゆみこさんもさすがだった。
最後はジャム・セッションで、熱い大気の中にみんな心地よく蒸発、とろけていった。
今回は、チャリティ・ライブになっている。
カンパの使い道は、RADのみんなと被災地へ行って、応援ライブをやろうというものだ。まだまだ、インフラや物資は不足しているが、一番大切なものは「本物の」娯楽ではないだろうかと思っている。
おんじゅくジャズ・フェスティバルでは、暑い時は、とことん熱く楽しむというスタイルが定着しそうだ。
来年は、プロムナードにミニ・プールでも置くか…。6町歩(18000坪)の牧草地で星空ライブやるか…。
早くも、
「来年が楽しみだ!」
と、夜の打ち上げBBQで、RADのみんなと大いに盛り上がった。
「白い光が何個か踊っているのが見えた。」
「ここには妖精が住んでいる!」
とは、牛舎8号オープンの日に何人かの友達から聞いた話。
そういった類の話は、あまり信用しない私だが、うれしくなって、思わず、牛舎8号の高い梁にかけてある天女の切り絵に目をやった。
それはホームレスの切り絵師、山本武夫さんの作品。牛舎8号オープンのわずか1週間前に、かみさんと夜遅く、高い梁に脚立に乗って取り付けたものだ。
霊のなんのという類のものを見たことがない私は、天女を見て想像するしかない。
今年のお盆も帰れなかったが、もしも、祖父が光となって、この場所を訪れていたら…、ジャズの光輝く音に伴われ、+1と-1の融合する調和へと帰っていけたなら、どんなにかうれしいことだろう。
山本武夫氏の描くような天女に連れられて、0へと還っていく白く優しい光を、そっと脳裏に思い描いた。
RAD MUSIC SCHOOL
http://www.radmusicschool.com/
出演者の詳細、画像等、ブログに近々アップされる予定です。





















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