ONJUKU まるごとミュージアム
一枚一枚が岩の様に重い。
牛舎8号の一画を占める何十枚もの銘木。
それを一つ一つ、ギャラリー回廊や牛舎7号に移動させていく。
淀んでいた空気が一気に流れ出し、牛舎の中を風が吹き抜ける。それまでの暗がりに光が入り込む。
銘木を移動させ、生まれ出たスペースを新たなる創造空間に作りかえる。
10月6日から始まる御宿まるごとミュージアムでは、その空間に「たべけんぞう」の「スター・ダスト」シリーズを配置する。それらを取り囲む壁際の銘木群は、巨大な石像のように、その不死身の鉄の塊達を睥睨する。
そして、その一枚一枚異なる樹肌には、栗原大輔 のノスタルジックな乗り物の精密画が時間と空間を無視して顕れる。
昔懐かしい乗り物が周囲に思い出の様にランダムに浮かび上がる中、鉄屑から新たに命を吹き込まれたスターダストが命の灯火を青く燃やす。
ゆくゆくは、そこを画廊喫茶の様にしたいと思っている。
厨房は、私が東京で建築屋時代に学んだノウハウをフルに活かして、なんとしても作り上げたい。
生みたてのひらがい卵の卵かけご飯やオムレツを始めとした卵料理のレシピはいくらでもある。地元野菜の漬物(トッピング)や汁物。毎週何曜日かはマクロビオティック・メニューにしてもいい(肉牛もいる鶏卵牧場でマクロビ・メニューというのは斬新だ)。
腕のいい料理人は、お昼時に牛舎8号を訪れるといくらでも出会うことができる。
コーヒーは、私の知り合いからウガンダの有機コーヒー豆を仕入れる。もちろん、フェア・トレードで。
自分達で作物を育て、調理し、人々に振る舞う。そんな自己完結型の農産物直売ギャラリー&カフェを創っていきたい。
重い一枚のケヤキ板を背骨で垂直に持ち上げながら、そう思った。
自分よりはるかに重い、化石のような銘木が無数に立ちはだかっている。
それらを一枚一枚動かしていく必要がある。
板が倒れてくれば、自分も無事には済まない。
やるべきことは無数にある。
谷津田再生作業は、ようやく脱穀にまで至ることができた。
稲刈りには、地元商工会青年部、東京から来てくれた友達始め、多くの人達が手伝いにきてくれた。
お昼には、牛舎で子牛のカレーや猪肉の煮込みを振る舞った。残暑厳しく、剛ちゃんからもらった裏成りのスイカが喉にしみわたる。
グングンと音を立て、まばらに実った稻束を飲み込んでいくコンバイン。
見るからに収量は少なく、吐き出された藁束も細くて頼りない。
今年育ったお米だ。
話題は自然と放射能汚染に向かう。プルトニウム汚染が今更ながら報道され、福島のお米からは当然、基準値を上回る放射線量が測定された。千葉のいくつかの街にはホット・スポットが存在する。そんな中、奇跡的に数値の低い夷隅郡市。
今のうちに手を打って、安全性を武器にしようという提案が手塚さんから牛舎8号になされた。元原発エンジニアの原さんの協力の元、40万円前後の放射線測定器を有志で購入し、個人単位で測定しようという案だ。最近、出回っているガイガーカウンターとは違って、空間線量だけではなく、その物質の放射能汚染を測定することができる。
「もし万が一、測定値が基準値を上回っていたらどうなるか?」
予想される最悪の結果が出た場合、どうすればいいのだろう?
食うことも生産することもできなくなる。
ひょっとして、知らない方が幸せなのかもしれない…。
だが、重要なのは、次の世代にどんな世界を残していくかだ。
私達は、クソを垂れ流しておいて、子ども達にケツを拭かせるような世代にはなりたくない。
結果がどうあれ、今は、まず事実を知ることが重要だ。
放射能にまみれた、墓石の様に重い銘木は、たった一人ではびくともしない。
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コメント
銘木、カウンターや看板に最適です。
ただ、重くて扱える人が少ない!
値段は、都会の半値以下なんですけどね。
投稿: | 2011年10月 4日 (火) 07時41分
銘木、テーブルにすると美しいでしょうね。
放射能汚染について、
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20111001
が詳しいです。はてなブログで、閲覧者がよく訪れるサイトです。
投稿: 森下礼 | 2011年10月 3日 (月) 11時11分