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2016年5月27日 (金)

TOKYO CLASSIC

 ニュージーランドの牧場で、一番最初に習ったことは、馬へのアプローチ(近づき方)だった。

 野生馬を捕まえて飼いならす彼らにとって、いくら調教してあるとはいえ、馬には野生の血が眠っていることを体験から知っている。

 うっかり近づいても、常に一定の距離をおいて逃げられる。

 斜め前に立ち、そよ風のようにゆっくりと、綿毛のように足を下ろす。

 ミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくる回廊のように、後ろ向きに、ゆっくり歩けば歩くほど、馬への距離は縮まって、馬の方から寄ってくる。

 

 ゴルフの起源は諸説あるが、その昔、スコットランドの寒風吹きすさぶ、ヒースの生い茂る牧場で、羊飼いの少年が、暇つぶしに石を打ってウサギの穴に落として遊んでいたという説が私は好きだ。

 そうすると、ゴルフ場の風景に馬が溶け込んで見えるのは、なんの不思議もなく思える。

 東京クラシックの2コース分15ヘクタールのゴルフ場開発用地にオオタカの巣が見つかって、まるまる草原と森が残ることになった。

 そこの活用法について、オーナーの西村さん、発起人の麦野さんという最強かつ心あるお二人とお話しする機会を頂き、結果、馬の放牧地にしようという夢のような話の展開になった。

 そこから、ゴルフ場周辺部の森に外乗コースをつくり、厩舎や馬場、オーガニックの市民農園、自然や里山で遊べる場をつくろうという展開になった。

 そして、去年の末から、牛舎8号からアドバイスする(好きなことを言う)立場から、西村さん、麦野さんの一助となるべく、本格的に東京クラシックのアクティビティ部門にコミットさせてもらうことになった。

 

 コンセプトは、

「ファミリーで楽しめる真のカントリークラブを目指して」。

 行動の指針として3つの柱を盛り込んだ。

  •  オーガニック organic

  •  アニマル・ウェルフェア(動物福祉) animal welfare

  •  生物多様性 bio-diversity

 言葉は難しいが、簡単に言えば、馬のいる日常つくり。

 ここでいう「馬」は、ファミリーで楽しめる空間の象徴であり、そこでは人も動物も幸せを共有する。

 きれいな空気と水があって、おいしい食べ物とそれを育てる楽しみがあり、音楽や芸術、自然の美が調和して、仲間達の笑い声が絶えない。

 そんな場を創るということだ。


 環境破壊や乱開発の象徴とされてきた日本のゴルフ場だが、東京クラシックが真のカントリークラブを実現し、負のイメージを払拭することができれば、全国に2400あるといわれている他のゴルフ場にも、一つの方向性を提示できるかもしれない。

 

 一つ一つ、積み上げていくことは山ほどあって、完成まで100年かかるかもしれない。

 賛否両論、応援もやっかみもあって、ハード面よりも人の心の熟成の方がよっぽど時間がかかるかもしれない。

 だが、恐らく、ゴールなどというものはなく、世代を継いで、歩き続けることが完成形なのだろう。

 

 オオタカや馬に導かれ、ようやく足を踏み出した。

 私にとっての東京クラシックは始まったばかりだ。


東京クラシッククラブ

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